- ヴェルデュールの朝は清々しい。
- 京都桂の朝の匂いは自然がいっぱいで心地よく、
窓から差し込む朝日は穏やかで、温かい。 - 今日は二人とも仕事が休みなので、
朝はゆっくりできる。 - 主人が新聞を取りにいく。
きれいなエントランスの郵便受けに
いつも入っている。 - エントランスはオートロックでいつも安心できるし、何よりこの「朝」を邪魔されずに済むので
とてもうれしい。
- 朝食は当番制。今日は主人の日だ。
- 私は自分たちだけの専用の庭に目をやる。
- 庭の木に水をやる。横の今育てている花にも。
- その内いい匂いが室内に広がる。
- 「今日はスクランブルエッグとソーセージだよ。」
- 主人の声がカウンターキッチン越しから聞こえる。
- 料理を作ってる姿を正面で見るのって好きだな。
- 「今日はいい天気だね。あそこ散歩しようか。」
- 私たちのお気に入りの散歩コース。
- 「そうね。じゃあお昼はあのカフェ行こうよ。」
- 少し仕度をして出かける。ちょっとオシャレして。
- 「いつ来てもきれいなところね」
- ヴェルデュールに住んで、
お気に入りの散歩コースが増えた。
この竹林公園はその中でも特に好き。 - 「そう言えば最近…」 話がはずむ。
- “幸せ”ってこんな感じなんだろうな。
- お昼ごはんは駅前のカフェ。
- この散歩コースのゴールはいつもここ。
- 「今日もよく歩いたね。お腹すいたよ。」
- 私はサンドイッチ。主人はオムライス。
- 「あなたっていつもチョイスが子供みたいね。」
- ささやかなことで笑い合える関係。
- 「君はいつもオシャレなの頼むね。」
- 「ただいま。」
- さっき中庭で大家さんと出会い少し立ち話。
- 最初の契約のときにかなり融通を聞いてくれた。
- これからもいい関係が続きそうだ。
- 部屋に戻ると窓から差す陽の光でついウトウト。
- 住宅街で大通りにも面していないから
静かで昼寝には持って来いだ。 - そんな私をいつも主人はしかるけど、
あなただって気持ちよさそうに寝てるじゃない。
- 「スーパー行ってくるね。」
- 少し先に起きた私は寝起きの主人に言う。
- 「今日晩ごはん何がいい?」
- 「あ、あれ!ほらこの間作ってくれたパスタ。」
- 「ああ、あれね!オッケー。気合入れて作るね!」
- 「うん。よろしく。いってらっしゃい。」
- 歩いていけるいつものスーパーへ。
- なんでも揃ってるから
ご飯のメニュー考えるのも楽しくなる。
- 「ただいまー。すぐ作るね。」
- トントントン… 野菜を切る音が響く。
- ここのキッチンは広くてキレイだから料理も楽しい。
- 「これできたから、そっちに持ってって。」
- カウンターからテーブルへは主人担当。
- 「いただきます。」
- 「やっぱコレおいしいね。」
- その一言がいつも嬉しい。
いつまでも言ってほしいな。
- 「ごちそうさま」
- 片付けは二人でするようにしてくれている。
- 終わると主人は好きな映画を見始める。
- それをたまに見つつ、私は読みかけの小説。
- 壁が厚いからお隣さんの音は聞こえない。
- こちらも気にせずに音を出せる。
- エアコン完備ってのも嬉しいな。
- 「先入るね。」
- お風呂も広くて、浴室乾燥まであるので、
長風呂もできるし、掃除と洗濯も楽だわ。
- 「そろそろ寝ようか」
- 「うん、おやすみ」
- 明日は主人は出張で少し早めの出勤。
- 主人は車で、
私は歩いてすぐそこのバス停からバスで。 - 「ねぇ。ほんとここに決めて良かったね。」
- 「どうしたの急に?でもまあそうだね。
環境いいし、アクセスもいいし、
設備も申し分なしで安いしね。」 - 「この子が生まれても、ここだと安心ね。」
- 「え!?…え?ええ!!?」
- 「明日からも頑張ってね… おとうさん♪」